01 / DEFINITION
魔術法は文明側の防御術式である
魔術は火を生み、風を操り、大地を動かし、都市の構造や生活を支えることができる。しかし同時に、術式の誤発動、媒介の管理不備、象意汚染、禁忌術式の流通など、社会全体へ被害を及ぼす危険も持つ。
そのため、文明国家では魔術を完全な自由行為として扱わない。魔術は学問であり職能であると同時に、法によって管理されるべき危険技術である。
魔術法とは、魔術師を縛るだけの制度ではない。魔術という危険な知を社会で運用可能にするための、文明側の防御術式である。
02 / PRINCIPLES
魔術使用規制法の基本理念
魔術法は、発動した結果だけでなく、発動可能な状態そのものを規制対象とする。媒介に刻まれた術式、設置された魔術陣、蓄積された魔力流、術者の資格状態も危険を孕むためである。
基本理念は、公共安全、術者責任、媒介管理、禁忌抑止、事故記録、被害最小化に置かれる。
術式を実際に使用する行為。
媒介・陣・蓄積魔力の管理状態。
事故、許可、流通履歴を追跡する制度。
03 / CITY
市街地における使用制限
都市部では、魔術使用に最も厳しい制限が課される。人、建物、公共術式、媒介施設が密集しているため、ひとつの事故が連鎖的な被害を生みやすい。
市街地で許可される魔術は、基本的に生活補助、応急処置、防衛、公共維持に限定される。照明補助、微小な温度調整、止血補助、浄水、短距離通信、簡易結界などがその例である。
都市において魔術師に求められるのは、強い術式を使えることよりも、使わない判断ができることである。
04 / REGISTRATION
術式登録制度
術式登録制度とは、一定以上の威力、範囲、持続性、精神干渉性を持つ術式について、その構造、用途、発動条件、媒介、想定リスクを公的機関へ届け出る制度である。
登録対象には、中級以上の攻撃術式、広域結界術式、自律発動型刻印術式、集団儀式術式、公共空間へ設置される持続術式などが含まれる。
05 / PROHIBITION
禁忌管理と流通規制
禁忌魔術は、単に強力な術式ではない。精神境界の侵害、象意転写、存在構造への過剰干渉、連鎖属性増幅など、世界構造や社会秩序を破壊しうる術式である。
そのため禁忌に関わる記録、媒介、術式断片は、閲覧権限、保管場所、複製制限、研究目的の申請によって厳格に管理される。
魔術法における禁忌管理は、知識を消すためではない。知識が無秩序に社会へ流れ込まないよう封じるための制度である。
06 / SUMMARY
法は魔術を社会へ接続する
魔術法は、魔術を否定するものではない。むしろ、魔術を社会の中で運用し続けるために必要な構造である。
許可、登録、制限、記録、禁忌管理によって、文明は魔術の恩恵を受け取りながら、その危険を最小化しようとしている。